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タイトル: 寒冷地におけるイネ科作物のバイオマス生産性の制御機構の解明を目指して : イネの分げつ伸長のコントロール
著者: 加藤, 清明
発行日: 2011
出版者: 日本農芸化学会北海道支部
抄録: 植物のバイオマスを決定する要因に枝分かれ(イネ科植物では分げつ)がある。 枝分かれは、腋芽(分げつ芽)の形成とそれに続く伸長の2 段階で制御される。 植物は、周囲の環境に応答した遺伝子発現とタンパク質合成、そしてオーキシン、サイトカイニン、ストリゴラクトンなどの植物ホルモンの相互作用により分げつ芽の伸長を制御するものと考えられている。例えば、伸長抑制にはたらく転写調節因子FC1(OsTB1)は、これら3 種の植物ホルモンの下流で統合因子としてはたらくことが知られている (Minakuchi et al., 2010)。これらの分げつ伸長経路の解明には、イネの枝分かれの多い多分げつ突然変異体が利用されてきた(Umehara et al., 2010)。我々の研究グループでは、枝分かれの少なくなったイネの少分げつ突然変異体を利用して分げつ伸長経路の理解を深めたいと考えている。これまでに、50 系統あまりの少分げつ突然変異体を選抜し、このうち、遺伝子分析と対立性検定により6 種類の劣性遺伝子rcn1 からrcn6 を報告した(高牟礼ら 1999)。二重変異体の解析から、少なくともこれら6 種の遺伝子が、ストリゴラクトンおよび統合因子FC1 を介した経路とは独立にはたらくことがわかった(Yasuno et al., 2007; Ariyaratne et al., 2009;未発表)。rcn1 は、ABC タンパク質サブグループG に属するOsABCG5 をコード し、このサブグループで最初に報告されたショウジョウバエの白眼突然変異体の原因遺伝子であるwhite タンパク質(P10090)と39.9%の類似性を示した(Yasuno et al., 2009)。ABCG タンパク質はショウジョウバエにおいて色素前駆体のグアニンとトリプトファンの輸送に関わっており(Mackenzie et al.,1999)、ヒトでは高シトステロール血症の原因遺伝子ABCG5 とABCG8 が、植物性シトステロールの輸送(排出)に関わっている(Heimerl et al., 2002)。RCN1は、展開前の若い葉で高発現しており、分げつ芽の伸長に欠かせないタンパク質と考えらる。現在、RCN1 の細胞内における局在と輸送基質の特定を進め、分げつ伸長の制御機構の解明に取り組んでいる。他の5 種のrcn 遺伝子についても、原因遺伝子の単離を目指して候補ゲノム領域の詳細地図を解析中である。 また最近、解析を始めた残りの40 系統あまりのrcn 変異体については、rcn1〜rcn6 との対立性検定を進めており、新たな分げつ伸長をコントロールする遺伝子の発見に利用できることを期待している。遺伝子の単離に加え、将来は,低温などの栽培環境にどのように関連して分げつ芽の伸長が制御されているのかも興味深い。
記述: 平成23年8月6日開催(帯広) 日本農芸化学会北海道支部夏期シンポジウム 「十勝がはぐくむ農芸化学」
URI: http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/3057
権利情報: 日本農芸化学会北海道支部
出現コレクション:00F06会議・学会発表資料

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